アパレル業界の職種には、衣料品の製造(流通)から消費者への販売(広報)に至るまで多種多様にあります。

ここでは、その職種別の仕事内容と給料(年収)について、製造(流通)を行う「アパレルメーカー」と販売(広報)を行う「小売(店舗)」の2つに分けて解説しています。

尚、記載の給料(年収)については、パーソルキャリア㈱が運営する転職情報サービスのクリーデンスが発表した「ファッション業界 職種別平均年収2019年版」から引用させて頂きました。この調査は、2019年1月から12月までクリーデンスに登録した25〜39歳の転職希望者の年収データです。

給料(年収)については、企業や個人の能力によって異なります。希望にあった職種から就職・転職の参考にしてください。

職種別の仕事内容と平均年収(2019年版)

それでは、製造(流通)を行う「アパレルメーカー」と販売(広報)を行う「小売(店舗)」の2つに分けて見てみましょう!

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「アパレルメーカー」では

ここでは、アパレル業界の製造(流通)に関する衣料品のデザインから生地の選定、縫製から製品に仕上がるまでの職種ついて説明しています。

【MD・マーチャンダイザー】

《仕事内容》
ファッション情報や市場動向から、シーズンに応じた商品の開発立案から販売計画や予算などを総合的に考えるポジションです。売上(収益)の動向を常に分析し、目標達成を目指します。時には、販売促進活動にも着手し、広告の制作や製品の販売フォローなども行います。

《平均年収(2019年)》
※給料(月収)は、平均年収÷12ヶ月で計算しています。

  • 「25~29歳」平均年収/390万円、※給料(月収)/約32万円
  • 「30~34歳」平均年収/484万円、※給料(月収)/約40万円
  • 「35~39歳」平均年収/523万円、※給料(月収)/約43万円

この職種は、企業全体の状況を把握し、各職種の中心となって企業を支えている重要なポジションです。各職種の経験や広範囲な知識が必要になります。企業の決算を左右するとあってアパレル業界の中でも高収入な職種になっています。

【デザイナー】

《仕事内容》
今の時流にあった衣料品のデザインを考えるポジションです。デザイン画の作成や縫製仕様書の作成、パタンナーへの指示や素材選定などを主に行ないます。

製品サンプル作成の時には、縫製工場や副資材メーカーを交え、製品のイメージを伝えます。市場の動向から消費者ニーズの敏速な変化に対応しなければなりません。

《平均年収(2019年)》
※給料(月収)は、平均年収÷12ヶ月で計算しています。

  • 「25~29歳」平均年収/318万円、※給料(月収)/約26万円
  • 「30~34歳」平均年収/376万円、※給料(月収)/約31万円
  • 「35~39歳」平均年収/434万円、※給料(月収)/約36万円

この職種は、ファッション感覚(感性)が求められます。企業のブランドイメージを構築するポジションとしては、アパレル業界の花形的な存在になります。能力によって評価(収入)が大きく変わります。

【パタンナー】

《仕事内容》
デザイナーが出したデザインを洋服にするための型紙(パターン)を作成するポジションです。デザイナーが描いた平面のデザイン画をベースに立体的な形に仕上がるように洋服の型紙(パターン)を作成、量産に向けたサンプルアップが仕事内容です。

デザイナーの意向に基いた着心地やシルエットに作成しなければなりません。型紙(パターン)の微妙な違いで着心地やシルエットが大きく変わりますので高度な技術と知識が必要です。

近年のアパレル業界では、CAD(コンピューターによる設計)を活用し、作業の効率化を図ろうとする動きが一般的ですが、基本を理解した縫製技術が必要です。

《平均年収(2019年)》
※給料(月収)は、平均年収÷12ヶ月で計算しています。

  • 「25~29歳」平均年収/307万円、※給料(月収)/約25万円
  • 「30~34歳」平均年収/354万円、※給料(月収)/約29万円
  • 「35~39歳」平均年収/401万円、※給料(月収)/約33万円

この職種は、デザイン画をベースに型紙(パターン)から立体的な形(製品)にしなければなりませんが、デザイナーのアシスタントになることが多いポジションのため、収入は思った程高くないのが現状です。

【生産・品質管理】

《仕事内容》

  • 生産管理
    販売計画をベースとして人員や設備などから生産能力を計算し、製品が仕上がるまでの一連の流れを管理するポジションです。工場に対しては、品質や原価計算、納期の目標を設定し具体的に工場(現場)側へ指示をします。

  • 品質管理
    製品の品質向上と安定化を考えるポジションです。近年では、生産工場の多くが国外のため、製品を輸入する前の段階で品質を管理しなければなりません。仕様書をベースにサイズ(寸法)などを検査し、問題が無いことを確認して目的地へ出荷する。

    他の職種に比べると人員が少なく、生産工場内で行う仕事内容がベースになります。繊維製品の基礎知識が必要です。

《平均年収(2019年)》
※給料(月収)は、平均年収÷12ヶ月で計算しています。

  • 「25~29歳」平均年収/345万円、※給料(月収)/約29万円
  • 「30~34歳」平均年収/386万円、※給料(月収)/約32万円
  • 「35~39歳」平均年収/438万円、※給料(月収)/約36万円

この職種は、生地メーカーや縫製工場、副資材メーカーと連携を取り、製品に必要な材料を準備し、品質を管理して製品を指定の場所まで納品する仕事です。

製造側の仕事内容が多く、管理作業が主になることから給料(年収)は比較的には安定しますが、高収入は期待でないポジションです。

【営業】

《仕事内容》
自社の製品を客先(百貨店・専門店・量販店)へ販売するポジションです。シーズンに応じてバイヤーから注文(契約)を取り、納品から売上を回収し収益を上げることが仕事内容です。

成績を上げるためには、提案した製品(契約頂いた製品)が売れなければ、次の契約に繋がらないと意識し、売れる商品を如何に情報収集しタイムリーに販売するかが重要です。

《平均年収(2019年)》
※給料(月収)は、平均年収÷12ヶ月で計算しています。

  • 「25~29歳」平均年収/376万円、※給料(月収)/約31万円
  • 「30~34歳」平均年収/449万円、※給料(月収)/約37万円
  • 「35~39歳」平均年収/478万円、※給料(月収)/約40万円

この職種は、客先からの信頼を受け、良い製品を適正な価格で提供し必要な情報を収集して伝達することが大切です。企業の売上(収益)が数字で明確になるポジションです。その額によって、個人の収入の幅が大きく変わることがあります。

このようにアパレルメーカーの職種は、ファッション情報や市場動向から時流にあったデザインを考え型紙(パターン)化し、縫製工場との連携からタイムリーに製品を仕上げ、営業に繋げなければなりません。

天候(気温)に左右される商品が多く、納期が遅れ販売時期を無くせば製品価値が下がり売れません。仕事の内容も繊細で大変ではありますが、自分達のつくった製品が大ヒット商品になる!このやりがいこそがアパレルメーカーの楽しいところです。

給料(年収)では、「MD・マーチャンダイザー」が高収入の職種になっています。仕事内容の幅も広く、企業の決算を担う中心的なポジションといったことが高収入になっていると思われます。

「小売(店舗)」では

ここでは、商品を仕入れて広報(宣伝)を行ない、消費者へ販売するまでの職種について説明しています。

【仕入れ担当】

《仕事内容》
店舗(販売)の品揃えに必要な仕入れを行うポジションです。アパレルメーカーから売れ筋の商品(オリジナル品を含む)を見極め買い付けを行い、店舗(無店舗の場合は倉庫など)に出荷する。

店長・マネージャーを通して店舗スタッフまで商品コンセプトやその良さを伝えることが仕事内容です。

売れて無くなった商品は、至急に再生産を行ない売り逃しの無いように対応しなければなりません。アパレルメーカーなどからの買い付けが主な仕事内容ですが、店舗や倉庫とのコミュニケーションや不良品のクレーム処理なども行ないます。

《平均年収(2019年)》
※給料(月収)は、平均年収÷12ヶ月で計算しています。

  • 「25~29歳」平均年収/329万円、※給料(月収)/約27万円
  • 「30~34歳」平均年収/438万円、※給料(月収)/約36万円
  • 「35~39歳」平均年収/475万円、※給料(月収)/約39万円

この職種は、消費者が必要としている商品を準備する役割ですが、天候(気温)や商品の動向、店舗などからの情報が決めてになります。企業の売上(収益)に影響する重要なポジションのため、高い年収を出す企業があります。

【プレス】

《仕事内容》
商品の広報・宣伝を行ない、自社のブランドイメージを高めるポジションです。主に雑誌などのマスコミ媒体への商品情報の配信や商品の貸出し、広告の掲載や商品発表会の企画・実施などが主な仕事内容です。

近年では、インターネットを使ってプロモーション行う職種にしている企業が増えています。

《平均年収(2019年)》
※給料(月収)は、平均年収÷12ヶ月で計算しています。

  • 「25~29歳」平均年収/378万円、※給料(月収)/約31万円
  • 「30~34歳」平均年収/461万円、※給料(月収)/約38万円
  • 「35~39歳」平均年収/504万円、※給料(月収)/約42万円

この職種は、企業のブランド(商品含む)価値をマスコミ媒体を通じて配信し、高感度を上げることですが、近年ではインターネットを通じてビジネスの幅を広げているポジションとあって高収入な職種の位置付けになっています。

【店長・マネジャー】

《仕事内容》
店舗スタッフの販売指導を行い、責任者として集客力のある商品レイアウトと売上(収益)を伸ばすことが仕事内容です。店舗スタッフのリーダーとして信頼のおける行動を示すポジションです。

《平均年収(2019年)》
※給料(月収)は、平均年収÷12ヶ月で計算しています。

  • 「25~29歳」平均年収/350万円、※給料(月収)/約29万円
  • 「30~34歳」平均年収/391万円、※給料(月収)/約32万円
  • 「35~39歳」平均年収/430万円、※給料(月収)/約36万円

この職種は、店舗の運営するポジションです。売れる店舗にして行くことで高収入が期待できます。

【店舗スタッフ】

《仕事内容》
店舗での接客やレジ管理、商品の在庫管理や整理・整頓が仕事内容です。自社やアパレルメーカーが企画・製造した商品の良さを消費者に伝える大切なポジションです。

また、バイヤー・仕入れ担当に情報のフィードバックも求められます。接客や販売をするだけではなく、売り場の演出やクレーム対応なども行ないます。消費者ニーズの多様化を理解しコミュニケーション能力が必要になります。

《平均年収(2019年)》
※給料(月収)は、平均年収÷12ヶ月で計算しています。

  • 「25~29歳」平均年収/301万円、※給料(月収)/約25万円
  • 「30~34歳」平均年収/328万円、※給料(月収)/約27万円
  • 「35~39歳」平均年収/358万円、※給料(月収)/約30万円

この職種は、人数も多く年齢の幅も広いポジションです。企業によって、個人差が出る職種です。売上(収益)に応じて収入が変わります。

アパレル業界に於ける小売(店舗)全体の仕事内容としては、ファッション感覚(感性)を磨くことも必要ですが、それ以上に市場動向や天候(気温)といった広範囲な情報収集が大切です。

そのためには、バイヤー・仕入れ担当から店長・マネージャーを通じて店舗スタッフまでの「情報共有」を目的にしたコミュニケーションがポイントになると思われます。

小売(店舗)の給料(年収)は、企業によって大きな差があります。仕事の内容や労働時間によってバイヤー・仕入れ担当が高収入の企業が多いように感じます。

しかし、近年ではインターネットを使って広告や宣伝などのプロモーションを行う職種として「プレス」が注目されています。

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まとめ

アパレル業界の職種には、衣料品の製造(流通)から販売(広報)に至るまで多種多様にありますが、ここでは「アパレルメーカー」と「小売(店舗)」の2つに職種を分けて解説しています。

  • 「アパレルメーカー」では、衣料品のデザインから生地の選定、縫製から製品に仕上がるまでの製造(流通)に関する職種別の仕事内容を説明しています。平均年収(2019版)情報を記載しています。
  • 「小売(店舗)」では、商品を仕入れて広報(宣伝)を行ない、消費者へ販売するまでの職種別の仕事内容を説明しています。平均年収(2019年版)情報を記載しています。

尚、記載の給料(年収)については、パーソルキャリア㈱が運営する転職情報サービスのクリーデンスが発表した「ファッション業界 職種別平均年収2019年版」情報です。

同じ業界でも企業によって、職種の仕事内容は異なります。ここに解説した仕事内容は、主に自身が経験した内容を記載しています。

これから就職・転職を考える時に給料(年収)は凄く重要になりますが、自分にあった職種で必要な資格を取得したり、日々の仕事から能力を磨き、平均以上の収入を目指すことも重要だと思います。参考にして頂ければ幸いです。