最近の結婚式事情は、長引く不況や相次ぐ自然災害の影響、インターネットによる欧米など海外からの情報によって、なるべくお金を掛けずにカジュアルなパーティー形式で行う「地味婚」と言われるスタイルが、主流になっているようです。
私が結婚した1992年は、バブル経済としては崩壊していましたが、景気はそのうち持ち直すだろうといった楽観的な風潮が強く、まだまだ派手な結婚式ブームが続いていました。
- 派手な結婚式とは
- 1980年代頃に流行ったスタイルで「結婚式のスケール=幸せのベクトル」と当時は言われていました。芸能人の結婚式が盛んにテレビ中継されるなど、その憧れもあってスモーク(ドライアイス)の中からゴンドラに乗ったカップルが登場するなど、演出や余興も派手に行われた。
- 招待客は100~150人くらいでフォーマルウエア(礼服)で出席。
- 結婚式の費用は、全体で約300~400万円と掛かったが、それ相当にお祝い金も集まった。
今では、そのような派手な結婚式も少なくなり「地味婚」スタイルが主流となった結婚式では、確かに一般的なフォーマルウエア(礼服)ではなく、少しカジュアルな装いの方が会場の雰囲気に合うようです。
ここでは、今の結婚式事情を踏まえ、実際に主流となっているカジュアルなスタイルの結婚式やパーティーなどのシーンに向けて開発された、普段はビジネススーツとして着用が可能なドレスアップスーツについて解説しています。
ビジネスマンを中心に改めて注目され始めているドレスアップスーツとは、具体的にどのようなスーツなのか?その特徴を見てみましょう!
ドレスアップスーツとは
ビジネスシーンをベースにした結婚式やパーティーなどで着用(出席)可能なスーツをドレスアップスーツといいます。カラー(色)や柄(がら)については、主にダーク系カラーのブラックやネイビー、他にブルー系のバリエーションを基調に展開されていることが多いように感じます。
無地調(綾組織など)をベースにシャドー柄(角度や方向によって柄が影のように見える)のストライプやマイクロチェック、ヘリンボーン(杉綾)など少し光沢のある生地(素材)が、使用されています(光沢の度合いは、生地によって異なります)。
光沢については、染色加工後の高熱プレスセットの段階で、生地の表面をクリアー(凹凸を抑える)仕上げにする加減で調整しています。素材では、ウール(羊毛)をベースにシルク混やポリエステル混といった、光沢に特徴のある原材料を使うことで商品に格差をつけています。
- 【参考価格】ドレスアップスーツ(リバーシブルベストがセット)
- ウール&シルク(シルク10%前後):50,000~55,000円
- ウール100%:45,000~50,000円
- ウール50%&ポリエステル50%:40,000~45,000円
- ポリエステル100%:35,000~40,000円
ドレスアップスーツには、ベストが必須アイテムとしてセットされ、スリーピース(三つ揃い)スーツとして展開されています。このセットされたベストが「リバーシブル(表側と裏側で着用が可能)」になっているのが特徴で、オールシーズン(通年)用として着用できるように薄手の生地が設定され、秋冬の時期や肌寒い日はベストを装着して対応できるようになっています。
ドレスアップスーツのブラック系カラーのスーツには、リバーシブルベストの表側はスーツ地(共地)で、裏側はシルバー系カラーの生地(異素材を含む)が使用されていることが多く、べーシックな定番モデルとして人気の商品になっています。
ネイビー系やブルー系カラーのスーツでは、リバーシブルベストの表側は同様に、スーツ地(共地)で設定されていますが、裏側はライトブルー系カラー(表地と同系のライトカラー)のトーン・オン・トーン(同系色による濃淡)による生地(異素材含む)が使用されていることが多いように感じます。尚、裏側に使用されている生地のカラー(柄含む)は、メーカーやブランドによってそれぞれ異なります。
リバーシブルベストを組合わすことにより、ビジネスでの着用はもちろん、結婚式やパーティーといったシーンにも着回しが可能なように設定されています。それでは、具体的な着回し方法について「ビジネス向け」と「結婚式やパーティー向け」の2つに分けて解説しますね。
ビジネス向け(着回し方法)
ドレスアップスーツには、一般のビジネススーツに比べると少し光沢のある生地が使用されています。これは、結婚式やパーティーといった記念すべき晴れの場を意識したものですが、通常のビジネススーツと差ほどの違いはなく(気にすることなく)着用頂ける程度の上品な光沢(テカっていない)に設定されています。
リバーシブルベストを着用する場合は、スーツ地(共地)側の方で着用すれば、スリーピース(三つ揃い)スーツとしてクラシックなイメージのおしゃれを楽しむことができ、ベストを異色(異素材を含む)側の方で着用する場合は、ベストのカラーに合わせたトーン・オン・トーン(同系色による濃淡)のダーク系カラーでネクタイやポケットチーフを合わせると少しカジュアルなイメージになります。肌寒い日などの防寒用としても重宝しますね。
通常のビジネススーツとしてワイシャツやネクタイを合わせる場合は、ベーシックなドレスアップスーツなので特に色・柄にこだわる必要はなく、普段から使用しているもので十分に対応が可能!
具体的な着用方法
- ベストを着用しない場合
- 通常のビジネススーツとして、ホワイトやブルー系カラーをベースとする一般的なワイシャツにネクタイを合わせる(ノーネクタイでもOK)スタンダードに着用が可能。
- カジュアルな柄物やパステル調のカラーシャツを合わせてオフビジネスのリラックスした着装が可能。
- ビジネス関連やお通夜には問題なく着用できますが、お葬式(葬儀)は避けてください(お葬式では少しの光沢ある生地でも基本的に厳禁です)。
- ベストを着用する場合
- 通常のスリーピース(三つ揃い)スーツとして、スーツ地(共地)側ベストを合わせることで、クラシックな雰囲気を楽しむことができます。
- ベストを異色(異素材を含む)側の方で着用する場合は、ネクタイをダーク系カラー(ブラック以外)のトーン・オン・トーン(同系色による濃淡)で合わせると少しカジュアルなイメージになり、おしゃれに着用できます。
- 他のビジネススーツにセットアップスーツのリバーシブルベストを単体(品)として合わせることでコーディネートの幅が広がります(肌寒い日などにも重宝します)。
ビジネスの場では、クールビズ(COOLBIZ)やウォームビズ(WARMBIZ)といった社会的な影響もあって、カジュアルな装いが増えていますが、まだまだスーツを必要とするシーンは多々あります。公式な接待や大切な商談、会議などドレスアップスーツのように多種多様なシーンで着回しの可能なスーツがあると便利ですよね。
結婚式・パーティー向け(着回し方法)
最近、特に多くなったカジュアルなスタイルの結婚式やパーティーなどでは、フォーマルウエア(礼服)では少し堅苦しいイメージになるため、ドレスアップスーツが改めて注目され始めています。ここでは、ドレスアップスーツを現代風の少しカジュアルなスタイルの結婚式やパーティーなどで着用して頂くための具体的な方法について解説します。
結婚式やパーティーなどといっても、さまざまな様式や度合いがありますよね。ドレスアップスーツが重宝される理由は、このさまざまな様式や度合いによっても対応が可能なところです。シャツやネクタイ、ベルトに靴(くつ)、装飾品(ポケットチーフ、ネクタイピン、カウスボタン、ラペルピンなど)のセレクトによってイメージが大きく変わります。
関連記事:ポリエステルのニット礼服がメンズで大注目!その3つの理由とは?
具体的な着用方法
- ベストを着用しない場合
- ブラック系カラーの無地調タイプでは、通常のフォーマルスーツ(礼服)と同様にホワイトカラーのワイシャツとシルバー系カラーのネクタイやポケットチーフを合わせることで、ベーシックな装いとなり、幅広い結婚式やパーティーなどのシーンに対応できます。
- ブラックやネイビー系のシャドー柄(角度や方向によって柄が影のように見える)タイプでは、お葬式以外であれば、お通夜や結婚式、パーティーなどで着用できますが、ワイシャツやネクタイ、装飾品をそれぞれのシーンに合わせる必要があります。
- カジュアル向けの結婚式やパーティーなどでは、ワイシャツはパステル調のカラーシャツにネクタイはトーン・オン・トーン(同系色による濃淡)で合わせるとおしゃれなドレスダウンになります。
- ベストを着用する場合
- ブラック系カラーの無地調タイプでは、ベストをスーツ地(共地)側にすることで通常のフォーマルウエア(礼服)と同様にホワイトカラーのワイシャツとシルバー系のネクタイを合わせることで、ベーシックな装いとなり、幅広い結婚式やパーティーなどのシーンに対応できます。
- ブラック系カラーの無地調タイプでは、ベストを異色(異素材含む)側の方で着用する場合は、カジュアルな結婚式やパーティーに最適です。ワイシャツやネクタイは、トーン・オン・トーン(同色系による濃淡)で合わせることでおしゃれに着用できます。
- ブラックやネイビー系のシャドー柄(角度や方向によって柄が影のように見える)タイプでは、ベストを異色(異素材含む)側(シルバー系カラーなど)の方で着用するとおしゃれで華やかなイメージになり、さらに蝶ネクタイやアスコットタイでドレスアップを演出することが可能です。
結婚式やパーティーといってもさまざまな形式や度合いがあります。そのような多種多様なシーンにも慌てることなく着用できるドレスアップスーツは個性的なスーツと言えますね!
関連記事:スーツを選ぶ時のポイントは3つ!生地の種類とそれ以外は何?
まとめ
最近の結婚式事情は、お金を掛けないカジュアルな「地味婚」ブーム。そのような時代を想定して開発されたビジネスをベースにした結婚式やパーティーにも着用可能なドレスアップスーツについて解説しています。
- ドレスアップスーツのポイント
- ダーク系カラー(ブラックやネイビー)で無地調とシャドー柄(角度や方向によって柄が影のように見える)がベース
- 少し光沢のある生地を使用(光沢の度合いは生地によってさまざまあり)。
- ベストは、リバーシブルタイプでスーツ地(共地)側とシルバー系カラーなど異色(異素材を含む)側で設定されている。
- ビジネス向けと結婚式やパーティー向けに着回しが多種多様にあり、それぞれの用途によって対応が可能。
- お悔やみでは、お通夜は着用可能ですが、お葬式(葬儀)は避ける(お葬式に光沢ある生地は基本的に厳禁)。
- オールシーズン(通年)に着用が可能(肌寒い日は、ベストを利用)。
近年のビジネス社会では、クールビズ(COOLBIZ)やウォームビズ(WARMBIZ)の影響でカジュアル化が進んでいる一方、まだまだビジネススーツが必要なシーンも多いようです。そんな時にドレスアップスーツのような多種多様なシーンに着回しが可能なスーツがあると便利ですね。
実は、私自身もアパレルメーカー時代(約10年前)にドレスアップスーツを持っていました。ウール(羊毛)100%のシングル2ボタンでブラックのマイクロチェック柄です。ベストは、当然リバーシブル仕様で表側はスーツ地(共地)のブラックのマイクロチェック柄ですが、裏側はシルバー系の無地(綾組織)が使用されていました。
普段は、ビジネススーツとして他のスーツと併用し、秋冬シーズンの肌寒い日はスリーピース(三つ揃い)スーツとしてベストを愛用し、結婚式やパーティーなどはシルバー系側のべストを活用していました。お得意先の賀詞交換会や接待、食事会などで重宝しました。
当時は自社で商品開発を行っていたこともあって、同僚や他の社員も普段からビジネススーツと併用し、ベストを単体(品)として他のビジネススーツに合わせて着用していた記憶があります。
このドレスアップスーツも光沢の度合いによってタイプが分かれ、ビジネス向けとしては結婚式やパーティー向けに比べて、光沢を少し抑えた設定になっています。個人差はありますが、光沢の抑えたビジネス向けタイプの方が、実際は便利に着回すことができると当時から思っていました。
当時(約10年前)は、商品の種類も少なく販売価格は、私が納品先から購入した「45,000円」程が主流の販売価格帯であったと記憶していますが、今では商品の種類も増えて価格を含むバリエーションが豊富にあります。
特に多忙なビジネスマンにとっては、本当に便利なスーツだと思い、今回紹介させて頂きました。ご参考にしてください。