スーツには沢山の種類があり、何を基準に選べばよいのか?困っている方が多いと聞きます。インターネットで販売されているスーツもありますが、最初は専門店で自分のサイズや着用感を確認して購入することをおすすめします。

自分に相応しいスーツは見た目の感覚も重要になりますが、使用する頻度や体型(サイズ)によって選択肢が絞られます。事前に決めておく内容と店舗で確認する内容を整理しておきましょう!

スーツといっても着用する時期(季節)や目的(用途)によって「生地の種類」「基本的な色・柄」「縫製仕様(仕立て方)」の3つは大きく変わる要素です。スーツを購入する前には必ずこの3つの要素を少しでも理解し、自分に相応しいスーツを手に入れてください。

それでは「生地の種類」から見てみましょう!

生地の種類(スーツ)

スーツを着用する時期(季節)や目的(用途)によって、生地の種類も多種多様にありますね。ここでは、基本となる羊毛(ウール)を主原料としたスーツ向けの生地に絞って解説します。

それでは、生地の「織り方」「代表的な生地」「羊毛(ウール)について」「原料について」をそれぞれ見てみましょう!

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織り方

生地を構成する時の織り方には「平織(ひらおり)」「綾織(あやおり)」「朱子織(しゅすおり)」の3つに分かれます。これを三原組織と言い、織り地の殆んどがこれに相当します。

  • 平織とは
    • 経(たて)糸と緯(よこ)糸を1本ずつ交互に、浮き沈みさせて織る基本的な方法。
    • 糸の密度に応じて、強度を変えることができる。
    • 季節を通して広範囲に使える。
  • 綾織とは
    • 経糸と緯糸が2本以上連続して織られ、織り目が斜めになった織り方。
    • 表面に斜めの線が見えることから斜文織(しゃもんおり)とも言われる。
    • 平織に比べ手持ち(肉厚)感や光沢が出しやすい。
    • 伸縮性の効果とシワになり難い利点もある。
  • 朱子織とは
    • 経糸か緯糸のどちらかを4本以上連続して織る方法。
    • サテン織とも言い、綾織以上の生地に手持ち(肉厚)感と光沢が出せる。

この3つの織り方から糸種を変えるだけで、着用する時期(季節)や目的(用途)に応じた商品がつくれるという訳です。

例えば、糸種を「細番手(90から110番手)」「中番手(60から80番手)」「太番手(30から50番手)」の3段階の太さで、織り方と組合せて季節感を出す場合は以下のようになります。※番手=糸の太さ(単位)。

  • 春向けは「平織に中番手を使用」「綾織で細番手を使用」。
  • 夏向けは「平織で細番手を使用」。
  • 秋向けは「平織で太番手を使用」「綾織で中番手を使用」「朱子織で細番手を使用」。
  • 冬向けは「綾織で太番手を使用」「朱子織で中番手を使用」「朱子織で太番手を使用」。

ここでは、スーツでよく使用する羊毛(ウール)の糸種と三原組織を使って季節に応じた生地をつくる場合の基本的な一例です。春向けは平織と綾織がベースとなり、夏向けは平織。

秋向けは全ての織り方と糸番手の組合せで、一般的にオールシーズン対応として重宝されます。冬向けは太番手が多くなりますね。

本来は、糸に加工「撚(よ)りを加えて硬く丈夫にしたり、水分を吸収、発散させるような加工など」を施すことで季節感を出します。

生地段階の加工では、表面の毛羽カット(春夏向け)や起毛(秋冬向け)、撥水(はっすい)や防シワといった機能性などで季節感や使用目的を分けています。他に抗菌・防臭(消臭)などの加工方法もありますね。

それでは、糸種と織リ方の組合せで代表的な生地を紹介しましょう!

代表的な生地

羊毛(ウール)を原料とした代表的な生地をピックアップしました。着る時期(季節)や目的(用途)に応じて考えられた生地です。織り方と糸種の組合せによって呼び方が変わります。

  • トロピカル
    • 平織で中番手(糸)との組合せが主流。春夏向けの代表的な生地。
    • 薄手で軽く、シャリ感のある生地。
    • 表面の毛羽をクリアーにカットしたサラリとした生地。
    • 無地を中心にストライプやチェック柄と豊富。
    • トロピカルとは「熱帯地方」の意味で、初めはイギリスで作られていたが、南洋のマレーシアやインドなどに輸出していた頃からこの名称が付いた。
  • フランネル
    • 綾織で太番手(糸)との組合せが主流。秋冬向けの代表的な生地。
    • 生地を縮絨(しゅくじゅう)といって熱圧力を加え、組織を縮める工程を行ない、起毛加工を施す。別名「フラノ」と呼ばれている。
    • フランネルは、スーツやジャケット、パンツなど様々なアイテムに使われる。
    • 暖かくて比較的軽く、保温性に優れています。厚手を「メルトン」と呼んでいる。
  • サキソニー
    • 綾織で中番手(糸)との組合せが主流。秋冬向けの代表的な生地。
    • 薄手なツイード調の毛織物。表面に起毛感があり、暖かさがある。
    • 柔らかくてハリコシのある一般的な素材と言える。
    • フォーマルスーツ(礼服)などにも使用されている。
    • 「サクソニー」とも呼ばれ、ドイツのサクソニー地方が発祥地とされている。
  • ホームスパン
    • 平織で太番手(糸)との組合せが主流。秋(冬)向けの代表的な生地。
    • その名の通り「家で紡(つむ)がれた」と言う意味。
    • 安定しない太目の糸を使って平織りで、ザックリとした手持ち感がホームスパンの特徴。
    • 暖かさのあるミックスした色目が印象的。
  • ツイード
    • 綾織(平織)で太番手(糸)との組合せが主流。
    • 秋冬向けの代表的な生地。
    • イギリス・スコットランド発祥の織物。
    • 他の毛織物よりも「ハードな質感」で表面のザラッとした触り心地が特徴。
    • 太目の糸でしっかりした質感。
    • ジャケットやカジュアル向けスーツに使われることが多い。

ここに挙げた生地は、それぞれ独自性のある表情と機能性があります。

スーツの専門店ではトロピカルと言えば、春夏向けのリクルート(就活)スーツなどによく見られる一般的な「無地」が基本の生地です。

フランネルサキソニーは、秋冬向けで綾目風の無地やクラシックなストライプ柄が多く「イタリア製」のスーツによく使われています。

ホームスパンツイードは、カントリー調(カジュアル風)のスーツやジャケットに多く、色目は多色(2色以上)をミックスしたような生地です。手触りはザックリした感じがありますね。

是非とも店舗で確認してみてください。店舗で不明な場合は、スーツ専門店であれば確実に教えて頂けます。手に取って生地の違い(素材感)を確かめてみると案外、楽しいですよ。

それでは、次に「羊毛(ウール)」原料について説明しておきましょう!

羊毛(ウール)について

スーツの主原料である羊毛(ウール)の糸種には「紡毛(ぼうもう)糸」と「梳毛(そもう)糸」があり、それぞれ用途によって使い分けされています。

  • 紡毛糸とは
    • 5センチ以下の様々な毛足の羊毛を取り混ぜてつくった糸。
    • ウーレンと言い、空気を含み柔らかい。
    • 毛羽が多く秋冬向けに使用することが多い。
  • 梳毛糸とは
    • 原毛の段階で約5センチ以上の長い毛を梳(くしけず)って短い毛を取り除いて糸にする。
    • 紡毛糸に比べると保温性は劣るが、摩擦に強く耐久性に優れている。
    • 一般的な生地の殆んどが梳毛糸を使用。ウーステッドと言う。

用途として、紡毛糸は秋冬に限定した糸で毛羽が多くコートやブルゾンなど外からの寒気を遮断し、保温性を求められるアイテムに使用されます。

梳毛糸は、季節を問わず一年を通じて使われています。リクルートスーツやビジネススーツ、フォーマル(礼服)まで幅広い用途に使用されています。

また、糸には「単糸(たんし)」と「双糸(そうし)」があり、用途によって使い分けをしています。単糸とは、1本そのままの糸を言い、双糸とは、2本の糸を1本に撚り合わせた糸を言います。

用途として単糸は、強度が少なく柔らかい特徴から使用頻度の少ないパーティやフォーマルスーツ(礼服)などに多く、双糸は硬いが丈夫なので耐久性を求められるリクルートスーツやビジネススーツの殆んどが双糸を使用していますね。

原料について

羊毛(ウール)原料には「繊維の太さ(細さ)」があり、スーツ(上衣)の左袖に織ネーム(布地のタグ)に一般的に表示をしています。繊維の太さ(細さ)は「スーパー120」といったスーパー表示をしています。

この数字が大きくなれば、より細い繊維を使用している証となり、比較的には柔らかく、しなやかな風合いのスーツに仕上がります。

スーツは柔らかく、しなやかな風合いを好む方が多いようですが、繊維が細いので耐久性が弱くなる一面もありますので注意が必要!

※スーパー120は「1グラムの原毛から120メートルの繊維が出来る」と言う理論上の指標。表示は80から250まであり、数値が10増えるごとに0.5ミクロンずつ細くなります。

スーパー100(=18.5ミクロン)、スーパー110(=18.0ミクロン)、スーパー120(=17.5ミクロン)となりますね。

糸の太さは、繊維の原料によって単位が変わり、羊毛(ウール)主原料は「番手」、ポリエステル主原料は「デニール」です。

  • 羊毛(ウール)=番手
    • 短繊維(スパンヤーン)
    • 48番手、60番手、72番手、120番手・・・
    • 1キログラム(重さ)で1キロメートル(長さ)を「1番手」とする。 つまり、1キログラム(重さ)で48キロメートルの長さになる糸は「48番手」になる。
  • ポリエステル=デニール
    • 長繊維(フィラメントヤーン)
    • 100デニール、150デニール・・・
    • 9,000メートル(長さ)で1グラム(重さ)の糸の太さを「1デニール」と定めている。9,000メートル(長さ)で100グラムであれば「100デニール」となる。

織り方や糸の種類、機能性によってスーツを四季別に販売されている店舗もありますが、近年では地球温暖化や異常気象の影響から季節感が少なくなっていることもあり「着用シーン」別に販売されている店舗が増えていますね。

着用シーンとは、大学・専門学校の入学式や卒業式向け、成人式やリクルート(就活)向けなど、ビジネスでは商談、出張、会議、社内外のパーティといったシーンに分けられ、他に子供の幼稚園、小学校などの入園(学)式や卒園(業)式に出席するためのスーツがありますね。

ここからは、着用シーンを基本的な色・柄で見てみましょう!

基本的な色・柄

基本的な色・柄としては、季節感や着用シーンをイメージして色・柄を選ぶ。基本は「無地」で着る時期(季節)や目的(用途)によって、ネイビーやチャコールグレーがおすすめ!

表面に凹凸のある生地や光沢のある生地、シャドーストライプは無地に見えるが、角度によってストライプが浮いて見える人気の柄ですね。ワイシャツやネクタイの色でイメージを変えることがポイント!

インポート素材(イタリアやイギリス)の生地は、日本には少ないクラシックな色・柄が特徴でお洒落な印象を与えてくれるかも!

それでは、着用シーン別におすすめの色・柄を紹介しましょう!

着用シーン別

近年では、店舗も季節感から着用シーンを想定した売場構成に変えています。着用シーン別に選択するポイントを見てみましょう!

  • 入学・卒業式(大学・専門学校など)
    • シングル2釦スーツが主流。
    • 冠婚葬祭や成人式用と併用する場合は、ブラックの無地かシャドーストライプがおすすめ!
    • リクルートと併用する場合は「ネイビー」の無地かシャドーストライプにしましょう。
    • ワイシャツやネクタイは「春らしい」ピンクやブルー、パープルなどの色目にする。
    • 色:ブラック、ネービー
    • 柄:無地、シャドーストライプ
  • 成人式
    • シングル2釦・3釦、ダブル(4釦・6釦)と好みでよい。
    • 色目はブラックにして冠婚葬祭を兼ねる方法もある。
    • ダークなネイビーでもOK!
    • ワイシャツやネクタイは少し明るく(パステル調などの色目が理想)。華やかな印象がポイント。
    • 色:ブラック、ダークネイビー
    • 柄:無地、シャドーストライプ
  • リクルート
    • シングル2釦。
    • 色目はブラックとダークネイビーがよい。
    • ワイシャツは白がベスト。ネクタイはブルー系、エンジなど。
    • 第一印象が決め手なのでシワになり難い生地が理想。
    • 集中した日程で着用することが多いので家庭洗濯が可能なスーツが理想。
    • 色:ブラック、ダークネイビー
    • 柄:無地、シャドーストライプ、ストライプ
  • ビジネス(商談、出張、会議、社内外パーティなど)
    • シングル2釦。
    • ワイシャツやネクタイは清潔で明るい色目が理想。
    • 防シワ性などの機能性があればさらによい。
    • 色:ダーク系の色目(ネイビー、チャコールグレー、ブラウンなど。
    • 柄:上品な無地調の柄、ストライプ、グレンチェック
  • イベント(幼稚園、小学校の入学式・卒業式へ出席など)
    • シングル2釦・3釦。
    • 色目は少し明るいネイビーかミディアムグレーが理想的。
    • ワシャツやネクタイは落ち着いた色目(白やブルーなど)で清々しいイメージがよい。
    • 色:ネイビー、ミディアムグレー
    • 柄:シャドーストライプ、小柄(凹凸のある無地など)

着用シーンも人によって、様々ありますね。着用する時期(季節)や頻度を考え、自分の体型(サイズ)にあったスーツを選び、兼用できる部分を考えて購入してください。ワイシャツやネクタイの色でイメージを変えることがポイント!

次にスーツの代表的な「柄」について紹介しますね。

代表的な「柄」

ここでは、スーツの「柄」について無地ライクな小柄やストライプ、チェックといった沢山の柄がありますが、中でも一般的によく知られている代表的な柄を紹介します。

  • ペンシルストライプ
    • 細い線で少し間隔をあけて配した縞模様。
    • 鉛筆で書いたような細い線であることからの名称。
    • ピンストライプよりは太目でチョークストライプより細目。
  • チョークストライプ
    • ダークなボディに細目の白くカスレたような縞模様の柄。
    • 黒板にチョークで線を書いたように見える事からの名称。
  • シャドーストライプ
    • 糸の種類や撚り方向の違いで作る縞模様。
    • 一見無地のような同色で光の角度によってできる影の縞柄。
    • 落ち着いた中に光沢があり、華やかさなエレガントな柄。
  • ヘリンボーン
    • 魚の骨のような織り柄をしていることから名付けられた柄。
    • 直訳すると「ニシンの骨」という意味。
    • クラシックな織り柄で秋冬向けスーツに最適。
  • シャークスキン
    • 経・緯に淡色と濃色を1本ずつ交互に使った綾織物。
    • ジグザグ状でサメの肌に似ていることからの名称。
  • ハウンドトゥース(千鳥格子)
    • 犬の刃の形に似ていることからの名称。
    • 日本では、千鳥が並んで飛んでいる様子から「千鳥格子」と呼んでいる。
    • 古典的な柄として品格のある落ち着いた雰囲気が特徴。
  • ヘアライン
    • 細い線を間隔を詰めて配した縞模様。
    • 代表的な縞柄で古典的で繊細なイメージを与える。
    • 細く、互いに近接してる縞が髪の毛に見えることでの名称。
    • 濃淡に差がある糸を交互に経・緯に織ってできる縞で、生地の裏からみると縞が横になって現れる。
  • ギンガムチェック
    • 主に地色が白等の薄い色に格子色は一色で構成。
    • 経緯(たてよこ)とも同じ太さの縞模様でできたシンプルな格子柄。
    • 名称は、マレー語の縞模様を意味する「Genggnag」と言う説や、インド原産の糸染め平織り物をフランスの地名「Guingamp」で初めて生産したとの説がある。
  • グレンチェック
    • 千鳥格子とヘアラインなど細かい格子を組み合わせた柄。
    • グレナカートチェック(Glenurquhart check)の略。
    • 別名はプリンス・オブ・ウェールズ・チェックとも呼ばれ、ウェインザー公が英国王子だった頃によく愛用された柄。
  • タータンチェック
    • スコットランドの高原地方(ハイランド地方)で、クラン(氏族)、民族ごとに定められた経・緯の縞割が均等になっている多色使いの格子柄。
    • 赤、黒、緑、黄色を使った配色が多く、地位や身分などで使用可能な色数なども限定されていたようである。
  • ウインドペン
    • 窓の格子のような単色で経・緯の細い枠のような四角形を形づくる格子柄。
    • 英国の伝統柄の一つでクラシックでトラディショナルな印象を与える。
    • チェック柄の中でも存在感がある割に、すっきりさと上品さがある。グラフチェックと表現することもある。
  • バーズアイ
    • 白い小さい円形を狭い間隔で規則正しく配したドット柄。
    • 鳥の目のような柄からの名称。
    • トラッドな落ち着いた雰囲気を出す。

一般的によく知られている柄を紹介しましたが、スーツ選びで柄は重要です。面接や商談など初めて会う人に対しては特に第一印象が肝心ですね。チェックやストライプもよいですが、最初の1着目や2着目は、出来るだけ控えめな柄を選択することをおすすめします。

縫製仕様(仕立て方)

スーツは縫製仕様(仕立て方)によって、季節感や着用シーンが大きく変わります。型(デザイン)にこだわり、ラペル(襟)の形や裏地などによって自分に相応しいスーツを手に入れてください。それでは、型(デザイン)から見てみましょう!

型(デザイン)

スーツの型(デザイン)は、大きく「シングル」「ダブル」に分かれます。シングルは前身の釦が縦1列に付いていて、ダブルは前身の釦が2列に付いています。釦の数ではなく、列で判断してください。

シングル(ブレス)スーツ

  • 2釦(前身の釦数が2つ)
    • 前身Vゾーンが広く、Yシャツやネクタイの色でアクセントが出しやすい。
    • シャープな印象を与える。
    • 多くの年齢層の方に幅広く着用されていて認知度の高いモデルだけにネイビー系やグレー系がおすすめ。
  • 3釦(前身の釦数が3つ)
    • 前身Vゾーンが比較的狭く、クラシックなイメージがある。
    • 段返りの3釦スーツは今も主流。このタイプのデザインはVゾーンが広目で2釦と変わらないシャープな印象になる。

ダブル(ブレス)スーツ

  • ダブル4釦(前身の釦数が4つ)
    • 比較的ルーズなシルエットが今までのイメージですが、最近では6釦などタイトでスリムなシルエットが若年層の間でブーム。
    • シングルより全体的に面積の多いダブルは、カッチリとした雰囲気になり、フォーマルなイメージが強くなる。

型(デザイン)では、シングルスーツはビジネスやパーティといったフォーマルな場所でもよく着られますが、ダブルスーツは、コートのような派手さがあり、身体を大きく見せる効果があります。ガッチリした見え方からフォーマル的な要素が強いデザインになります。

ラペルの種類 ※ラペル=襟(えり)

スーツの顔はよく「ラペル(襟)」で決まる!と言います。ラペルは流行やブランドのコンセプトなどによって、幅や長さが変わります。ここでは代表的なラペル(襟)を含め、5つの種類を紹介しますね。

  • ノッチドラペルは、ひし形タイプの襟でシングルスーツの基本!
  • ノッチドスリムは、ノッチドラペルよりもラペルの幅が狭くなった形。ラペルの幅が狭くなることにより、シャープな印象になりますね。
  • ピークドラペルは、ピークとは「先の尖った」と言う意味で、ピークドラペルは下襟の先端が尖って上に向いている襟。ダブルのスーツに多く、シックな印象になりますね。
  • ピークドスリムは、ピークドラペルよりもラペルの幅が狭くなった形。ラペルの巾が狭くなることにより、シックでシャープな印象になります。
  • ショールカラーは、上襟とラペルが繋がっているタイプで、下襟が丸くカーブしています。主にタキシード向けのラペルでその形から「へちま襟」と呼ばれていますね。

ラペル(襟)の形(デザイン)でスーツの雰囲気が以外と変わります。特にダブルスーツに多いピークドラペルは、シックでシャープな印象を与えます。ビジネス向けと言うよりは、フォーマルやパーティなどのイメージが強い。

2釦のノッチドラペルが一般的なタイプになります。

ベントの種類

上衣の後ろ側にある切れ込みが「ベント」です。このベント(切れ込み)があることで、着心地や動きやすさをよくする役割があります。ベントは、大きく3つの種類に分かれます。

  • センターベント
    • オーソドックスなタイプで後ろ身の「真ん中に一つの切れ込み」が入っている。
    • 馬に乗りやすいようにつくられたことで別名「馬乗り」。
    • アイビースタイルには「フックベント」と言うカギ型の切れ込みもある。
  • サイドベンツ
    • スーツの後ろ身の「両サイドに切れ込み」が入っている。
    • ベントは、切れ目が広がっていない状態がベストな着こなしである。
    • クラシックな印象から比較的ゆったりとしたシルエットのスーツに多い。
  • ノーベント
    • スーツの後ろ身に「切れ目がない」型。
    • 基本的にノーベントのスーツは冠婚葬祭などのフォーマルスーツ(礼服)に多いと言える。

ベントは英訳すると「開孔」「通気孔」と言った意味。それはスーツが生まれたイギリスで当時の兵隊が、馬に乗る時に上衣の裾(すそ)が突っ張って邪魔にならないように考えられた工夫です。

ベントは「動きやすくする」ためのものですね。現代では、椅子に座った時の突っ張りを抑え、上衣のシルエットを守るなどの役割にもなっています。

裏仕様

上衣の裏側仕様には「背抜き仕様」と「総裏仕様」があります。それぞれのメリットやデメリットを見てみましょう!

  • 背抜き仕様
    • スーツの上衣で裏地を肩周辺のみ残した仕立て(仕様)。
    • 背中の通気を良くして涼しさをアップさせるための仕様。
    • 軽くして、少しでも身体の負担を軽減する。
  • 総裏仕様
    • 上衣(内側)の前身から後身にかけて全体に裏地が付いた仕様。
    • 保温性・保湿性を高め、寒い日でも暖かく過ごせる。
    • 裏地で汚れや外傷から表生地を守る。
    • 着る時や脱ぐ時に苦にならないほどよい滑りがある。
    • 見た感じにも美しく見える。

背抜き仕様は、通気性に優れ涼しい反面、上衣に厚みが無くなり総裏仕様に比べて、シルエットが崩れやすくなります。着用する時期などを考え、自分に相応しい選択をしましょう!

関連記事:流行色とファッション傾向は誰がいつ決める?トレンド商品との関連性とは?

まとめ

スーツを選ぶ時のポイントは3つ!「生地の種類」「基本的な色・柄」「縫製仕様(仕立て方)」です。それぞれのポイントを見てみましょう!

「生地の種類」

生地は、スーツを選ぶ上で最も重要な要素。織り方や糸種、原料に至るまで少しは理解しておきましょう。

  • 織り方
    • 「平織(ひらおり)」「綾織(あやおり)」「朱子織(しゅすおり)」3つの織り方があり、糸との組合せで生地の種類(季節など)が大きく変わる。
  • 代表的な生地
    • トロピカル、フランネル、サキソニー、ホームスパン、ツイードは、織り方と糸の違いから着用時期(季節)が変わり、その代表的な生地名として知られている。
  • 羊毛(ウール)について
    • 羊毛(ウール)の糸種や資質を知ることで「どのようなスーツが自分に相応しいのか?」を理解する。
  • 原料について
    • 繊維の太い(細い)は「スーパー〇〇表示」で見分ける。原料の数字によって、風合いが柔らかく、しなやかになる。左袖に付けられた織ネーム(布地のタグ)で判断できる。

「基本的な色・柄」

色・柄は、その人の個性が出ます。着用シーンを理解し、選択する。

  • 着用シーン別
    • 着用する時期(季節)や目的(用途)によって、スーツを選ぶ(成人式、リクルート、ビジネスなど)。
  • 代表的な「柄」
    • 一般的な「12」の柄を参考にする。

縫製仕様(仕立て方)

縫製仕様(仕立て方)によって、見た目の印象が大きく変わります。デザインや裏地の状態を確認して着用時期(季節)を知ることが出来ます。

  • 型(デザイン)
    • シングル(2釦、3釦)とダブル(4釦)それぞれのイメージと着用シーンによって選択する。
  • ラペル(襟)の種類
    • ラペル(襟)はスーツの「顔」。5つの形(ノッチドラペル、ノッチドスルム、ピークドラペル、ピークドスリム、ショールカラー)は着用シーンで決まる。
  • ベントの種類
    • 3種類(センターベント、サイドベンツ、ノーベント)の各イメージから着用シーン別に選択する。
  • 裏仕様
    • 「背抜き仕様」は春夏向けで「総裏仕様」は一般的には秋冬向けです。着用時期(季節)によって決める。

スーツは、様々な工程を踏んで仕上がってきます。種類も多種多様にありますが、自分に相応しいスーツは限られています。考え方を絞って、本当に必要なスーツを購入してください。

私は、アパレルメーカーの出身で実際に生地から附属を選択し、自社工場で生産していました。スーツはビジネスマンの「鎧(よろい)」だ!とよく先輩に教えて頂いたことを思い出します。

よいスーツは身体に馴染みます。身体に合っていればスーツの重さを感じません(着疲れは殆んどありません)。店舗へ足を運んで頂き、多くのスーツを試着して違いを実感してください。奥が深くて面白いですよ!

スーツを購入する前には、必ずこの3つのポイントを少しでも理解し、今の自分に相応しいスーツを手に入れましょう!